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マーケティングLab

2019.08.16

アメリカの小売店舗は日本とどこが違う?【視察レポート】米国スーパーマーケットの店頭からvol.2

3月末の米国視察より早くも4ヵ月以上が経過してしまい、前回のブログ(予告編)からも早2ヵ月。。
広報担当者からの冷たい視線を感じつつ、「米国のスーパーマーケットの店頭から」第2弾をお届けしたいと思います。
今回は主に視察したスーパーの店頭で感じた、日本との違いに関する所感を中心にお伝えしていきます。

1)巨大スケール、大量商品陳列を整然と実現するオペレーション力

広大な駐車場スペースを備えたショッピングモール。その中に、中心的なテナントとして威容を誇る平屋の巨大スーパーマーケット。
そんなイメージそのままに、今回もアメリカならではの巨大店舗を数多く視察してきました。

世界最大の小売り業者である「Walmart」。
「Walmart」なみにメジャーな店舗として知られる「Albertson’s」。
今回視察した店舗の中でも、特に広大さが際立っていた「Winco」。

これらの店舗に行くと、まずは日本とはスケールの違う物理的な巨大さ、そして膨大な商品ボリュームに圧倒されます。ただ、何店舗か視察しているうちにあることに気づきました。それは、店内が比較的「静か」であるということです。

日本のスーパーのように販促用の音楽がかかっていたり、店内放送がワンワン響き渡るということがありません。どこも一様にマイペースでお買物を楽しむ方が静かにお買物をしているだけで、賑やかしの音がないのです。

また、店員が走り回ったり、陳列やレジ作業で忙しなく動き回る、といったところも見たところがありません。
どの店舗も比較的少数の店員が静かに、ゆっくりと陳列作業を行っており、適度に会話をしている様子も見受けられます。
それでいて、広大な店舗の隅から隅まで、文字通り余すことなくどの棚にも整然と大量の生鮮、大量の商品が並んでいる。その事実に気づいたとき、さらに圧倒される感覚になりました。

お店の余裕はすなわち店員の余裕であり、顧客に何かを聞かれたときのサービスホスピタリティにも直結します。
これを可能にしているバックエンドのオペレーション、リソースマネジメントがどういった仕組みになっているのか、そこにまず大きな関心がわきました。また決して「人手不足」だけが理由ではない、精緻な店舗管理設計、合理的でシンプルな経営思想の存在を感じました。

2)専門家化する店舗スタッフ

次に興味を惹かれたのが、日本以上に主義主張が強く、「オーガニック」「ストレスフリー」といったキーワードにますます敏感になっている消費者の細かなニーズ・知識欲に応えるために豊富な知識で武装し、専門家化する店員の姿でした。

例えばこちらの「Berkeleys Bowl Marketplace」。
かの有名なUCバークレー校の近くに位置していることもあり、高い知識をもつ買い物客に合わせて商品もハイエンドでオーガニックなものがズラリ。顧客の細かな要望・質問に、対面で丁寧に回答しながら販売されています。

「Berkeleys Bowl Marketplace」のソーセージ売り場。豊富な種類に圧倒されます。
ジャガイモ関連だけでもこの品揃え。店員は、これらの商品知識を全て把握している必要があります。

そしてもう1店、日本にも進出している「Eataly」でも同じようなことを感じました。

現地のマーケットをイメージしたイタリア食材専門店「Eataly」。商品が並ぶすぐ横に、販売されているのと同じ食材を使った料理を食べられる飲食スペースが設けられている、混沌とした内装設計で有名なお店です。

販売スペースではその道のプロフェッショナルが商品の陳列・加工・販売を行っており、客は店員とのコミュニケーションを通じて学習しながら商品を購入することが出来ます。
(私が見た、上記写真のチーズ・ハム販売コーナーでは、店員と顧客が優に10分は話し続けていました)

ご紹介した2店は特にハイエンドな知識が要求されるお店でしたが、他のスーパーマーケットでも多かれ少なかれ同じ傾向があり、店員の役割が単に商品を売ったり会計したりすることだけでなく、「知識サービス」の提供へと徐々に拡張していることを感じました。日本でいえばそれは従来、個人商店や専門店が担ってきたものですが、今後は日本のスーパーマーケットでもそういった流れは徐々に顕著になっていくのではないでしょうか。

3)「コミュニティ化」するお店

最後に感じたのが、「コミュニケーション」「コミュニティ」に対する顧客の支持です。
米国といえば無機質で画一的、薄暗い照明のスーパーマーケットのイメージがあるかもしれませんが、支持されているお店ほど店員と顧客とのコミュニケーションが活発で、店員も生き生きと仕事をしており、コミュニティスペースを中心とした店舗設計を随所に感じる光景を多く見かけました。
中でも特に印象的だったのが、「Trader Joe’s」です。

地域のコミュニティとなることを掲げる「Trader Joe’s」では、店員が顧客とコミュニケーションすることが積極的に推奨されており、実際に通路やレジなど至るところで店員と顧客同士がフレンドリーにファーストネームでやり取りしたり、立ち話をしている光景を目にしました。

店内は趣向を凝らした手作りのPOPや地元アーティストが描いた絵があふれ、1つとして同じものがありません。

また、「Trader Joe’s」が販売する商品の大半はPB品であり、安価です。
ここにしかない商品を求めて顧客が来店し、加えてここにしかないコミュニケーション、スタッフとの会話を通じた顔見知り感、安心感を提供する。そうした点に魅力を感じる人がこの店を支持し、ロイヤルカスタマーとして定着していく。
そんな「Trader Joe’s」ならではの強みを、店頭の様子から実感することができました。

最後にもう1店、ご紹介したいのがサンフランシスコ郊外にある「Nugget markets」です。

オーガニックだけでなく地元産品の地産地消を強調したPOPや、店の真ん中に設置されたレストスペースなど、あたかもお店全体で顧客とコミュニケーションするかのように設計・デザインされているような店舗設計が印象的でした。

「LOCAL within 100 miles」と書かれたPOPが掲げられ、地元産品の地産地消を強調しています。
売り場の真ん中にレストスペースが設けられ、買い物客の憩いの場になっています。

日本にいると、アメリカの小売店は元気がなく、Amazonなどのデジタル勢に押されて淘汰されてきている…といった情報が多く聞こえがちですが、私が今回視察した店舗はいずれも非常に元気であり、独自のカラーや生鮮を中心とした商品力、顧客サービスを武器に買い物客にも支持されている様子が伺えました。

・アメリカの顧客は「フレッシュ=新鮮」「オーガニック」「遺伝子非組み換え」「ストレスフリー食品」といったキーワードに非常に敏感であり、それらをより安全に、安価で買える場所を探していること。

・店舗が提供するものが単なる日用品を買い物する場所ではなく、「店舗ならではの体験」「対面販売による安全安心や親しみ」「店員とのコミュニケーションからくる信頼」を提供することで消費者に商品とサービスの透明性を感じてもらい、支持されることに腐心していること。

・その手段として、各売り場におけるショーケース化、インストアキッチン化、コミュニティスペース化に工夫を凝らしていたこと。

・各店の空間設計の特徴がはっきりとしており、「誰にも受け入れられる」ことよりも、「ニッチなターゲット顧客にリピートしてもらえる」ことに重点を置いた店舗デザインが際立っていたこと。

・そして何よりも、どの店も品揃えが非常に充実しており、それが整然とオペレーションされていたこと。

こうした気づきを得ながら、アメリカ小売業のリアルな姿を知ることができたのは、視察の大きな収穫でした。
次回は、各店舗におけるデジタルの活用状況についてお伝えしたいと思います。引き続き、お楽しみに!

 (次回へ続きます)

※当記事は4回連載です。
Vol.1はこちらからご覧いただけます。
Vol.3はこちらからご覧いただけます。
Vol.4はこちらからご覧いただけます。(近日更新予定)

この記事を書いている人
中里昇吾 / ショピモ事業部 部長
サイバーエージェント、マイクロアドなどを経て、2017年にマーケティング・グラビティへ入社。現在はショピモ事業部のリーダーとして、営業・マーケティングチーム全体を束ねる。さらに個人でも、「荒川102」という地域Webメディアを主宰するなどマルチに活躍中。

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