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マーケティングLab

2019.04.09

【連載Vol.2】デジタルはスーパーマーケットを救うのか?「客数減」「人手不足」への処方箋

「客数減」が止まらない①~顧客の消費リズムが変化している

 20144月の消費増税以降、全国的に食品小売業の「客数減」が顕著となり、それから毎月ずっと伸長率が下回る状況が続いています。多くの食品小売事業者は「増税の影響は一時的なもので、増税直前3月の特需とその後の反動減はあったものの5月には元に戻った」と評価をしているようですが、実際はデータで見ると、購入時のバスケット単価が増える一方で来店頻度が落ち込み、「客数減」はほぼ確実にこの時期から始まっています。中でも、特に若年層で来店頻度が大きく落ち込んでいるようです。

また、一部店舗で導入されてきたEDLPEveryDay LowPrice)戦略は来店頻度の低下を招くと言われており、顧客の消費リズムに変化を与えています(一部の専門家からは、EDLP戦略がもたらした消費の欧米化による来店頻度の低下を指摘する声もあります)。

もちろん、コンビニやドラッグストア、ECなどに顧客を奪われている点も「客数減」の一因です。昨年12月まで、40ヵ月連続で前年伸長してきた生協宅配の存在も無視できないと思います。

 「客数減」の理由は何か? まずデータで実態を把握することから

一概に「客数減」といっても、上記のとおり来店頻度の低下によるものか、そもそも顧客を他社に奪われてしまっているのか、まずその実態をしっかりとデータで捉える必要があります。

売上の構造とは、ご存知のように「売上=客数×バスケット単価」で表されますが、そのうち客数を分解すると、「客数=ユニークユーザー×1人あたり来店頻度」となります。またバスケット単価を分解すると、「バスケット単価=1人あたり平均買上点数×1人あたり1品単価」となります。

「客数減」の根源が顧客の流出なのか来店頻度の低下なのか、またそのどちらともなのか。その理由を捉えるために、これらの要素を11つ分析していくことが必要です。例えばバスケット単価で「客数減」を補おうとしたときに、注目すべきは買上点数か1品単価か、もしくはその両方か、因数分解をして考える必要があります。


人口減少に加えて同業態異業態との競争も激化する中で、自社のユニークユーザーを増やせるのか? いったん定着した顧客の消費リズムを変えて来店頻度を上げられるのか? そして、そこに人や費用をかけられる体力があるのか? 当社ではそうした各社ごとの状況をヒアリングしつつ、上記のように分解した各因数に対してデジタルを活用しながら何をすべきなのか、食品小売業に関わる皆様と日々、議論させていただいています。

 「客数減」を乗り越えるために~私たちが考える2つの施策

 昨年の夏ごろ、小売各社がグロサリーの値下げを発表していましたが、今このタイミングで逆に「1品あたりの単価」を引き上げるにはよほどの根拠がなければ難しい状況だと思います。
では、「買上点数(サイズ)」を上げることができるかといえば、それも難しい。安易に「点数」に走り、価格を下げた単品大量販売は販売コストを増やすこととなり、利益を下げてしまう懸念があります。

 なんだか八方ふさがりのように感じられますが、では「客数減」を食い止めるにはどうすればいいのか? 私たちでは今後の施策として、次の2つが有効と考えています。 

1】ユニークユーザーに、よりいっそう良質なコアカスタマーとしてその店舗を利用してもらうこと。

2】単価を下げずにトライアルユーザーを増やして、買上点数に貢献すること。


この2つの施策について、現在も仮説と検証を繰り返しながらその精度を磨いているところです。

 ちなみにユニークユーザーを増やすアプローチには2種類あり、その1つはユニークユーザーを増やす=他社から需要を奪う戦略です(おそらく食品小売のリアル店舗はドラッグストアやEC、生協に需要を奪われていますので、それを取り戻す策を描きたいところです)。

そしてもう1つは、既存ユーザーの優良化。これは来店頻度や買上点数に寄与しますが、私たちはこちらのアプローチがより重要と考えています(他社から奪う前者の施策ですと、自社データからは他社の顧客が正確に読み取れないため難易度の高いアプローチとなりますね)。

 自社の顧客を詳しく理解することで、ヘビー層/ミドル層/ライト層というユーザーごとの識別が可能となりますので、それぞれの層に合わせた施策を打つことで関係性を強化し、優良顧客化を図っていけないか、そんな提案や議論をいつも取引先の皆様とさせていただいています。

(次回へ続きます)

※当記事は6回連載です(次回は4月16日更新予定)。
Vol.1はこちらからご覧いただけます。

この記事を書いている人
米田敬太朗 / 調査分析部 部長
生活協同組合コープさっぽろでマーケティング実務に携わり、2017年にマーケティング・グラビティに入社、POSデータやパネルデータ分析に基づいた小売業界の戦略立案に取り組む。

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